【映画感想】シン・ゴジラ(長谷川博己・石原さとみ・竹野内豊・市川実日子ほか)【ネタバレ】


shinngojira

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もう、しびれっぱなし。
世の中が話題沸騰、ブームになったのがわかる。
何が素晴らしかったって、まず、この密度。
最近のっていうほど最近の映画全部検証したわけじゃないけど、アクションとか、怪獣ものって本編2時間あると、最低でも冒頭30分、下手すると、1時間は冗長なシーンでこれから起こるであろう、惨事やアクションを盛り立てることが多いんだけど、シンゴジラにはそれがない。

冒頭から不審な船という非日常から始まり、もう、ゴジラ登場。
登場といっても、まだ、ちらっとした姿だけね。
確かに、アクションもので、冒頭から激しいシーンを持ってくるのもあれはその後冗長に入るんだけど、
これはその最初の勢いが最後まで全部だからね。やばい。

で、そのゴジラもさあ、我々はもうすべてを知っているわけだ。
恐らく、あのよく知ったゴジラが登場するのだろうと。
シルエットに小出しにはしつつも、きっと大差ないものが来るのだろうと。
そう思ってたところに出てきたのが、あのゴジラとは手にも似つかない気持ち悪い生物ね。
インパクト抜群だよ。引っ張りに引っ張った結果、完璧なまで想像の斜め上を行く感じ。驚きだよね。

そこからゴジラが進化していくのもなんだかリアリティがあるようでないような。
ただ、だからこそ、すべての生物を超越した存在という存在感をありありと示すことにも成功している。

街が破壊されていくシーンも地味ですごい。実際にゴジラが来たらこんな感じのパニックになるんだろうなあと。
ただ、ちょっと違和感があったのが、一旦ゴジラが海に帰ってから、日常に戻るのがやたら早すぎたことね。
しばらく会社休んで地方に隠れるとかしようがあったでしょうに。
おそらく、非日常があったにも関わらず、実際に被害にあってない人間は結局昨日と同じように生活しているという現実をやや皮肉った表現だったのでしょう。

そこからは長谷川博己は出ずっぱりなものの、それ以外に豪華キャストががやがやと出てきて、良い感じに豪華でピリリとしていた。地味に小出恵介が出ててなんだか切ない気分になったりもした。
市川実日子が人気になったけど、個人的には余貴美子が良かったよね。防衛大臣はやっぱりあれくらいの気迫と知識がないとだめでしょう。
今野防衛大臣が、東京湾の深さでは潜水艦は無理ですなんてぱっと出てくる気がしない。

石原さとみも良かった。
英語だけ発音がいいというギャグっぽい感じを最後まで全力でやりとおしたことを褒めたい。

ゴジラが二回目の上陸してからの圧倒的な破壊が絶望的で恐ろしかったよね。
何度もいうけど、二回目なのにみんなパニックになりすぎ感がある。
それだけ現実だと思えなかったと言えるのかもしれないけど、海に帰ったのに、関東近辺の海辺の人たちはやはり避難しておくべきだったと思う。
地下に逃げた人たちが多かったけど、最初に圧倒的な炎を吐かれた状況だと恐らく、逃げた場所が悪かった人たちは死んだんだろうね。
総理達が一変に死んでしまったのもぞわぞわしたね。
だいたいああいうので死ぬ人たちは無能な人間が多いんだけど、今回の総理は確かに弱腰な発言もあったけど、そこまでひどくはなかったわけで。
しかも周りの大臣たちはなかなかいい働きをしていたと思う。
そうした人たちもまとめて殺してしまうところにぞわぞわと来た。

米軍の攻撃が効いていた部分が少し分かりずらかったかな。確実に背中に傷を負ったはずだが、その傷が無くなってた。
ということはまあ凄まじいスピードで回復したと考えるのが自然。
学者さんたちが、死という概念すら超越している可能性すらあると言っていることから、その程度の細胞分裂は問題ないということでしょう。
核使わなくても、あのレベルの爆弾なら破壊できたってことかな?
まあ、学習したゴジラは飛行物体をオートで破壊する性能を身に着けちゃったけど。
ただ、そうすると、核爆弾も迎撃の可能性があったのでは?ただ、規模がすごいので、だいぶ上空で爆発しても焼き切る威力があったのか。

核兵器の使用に際し葛藤する場面がなかなか良かった。米国にも核使用に反対派は存在するし、おばあちゃんが核で苦しんだという石原の言葉もなかなか大切にしたいものだと思った。

そして、そういった葛藤を乗り越えての最後の作戦。
ここに来て一気にギャグのようになってしまったのがちょっと残念。まあ楽しかったけどね。
電車爆弾が何とも言えないシュールさがあったよね。
ゴジラがたまたま東京駅付近にいたからこそできた作戦だけど、もし別の場所にいたらそれはそれで何かを激突させていたのでしょう。
ただ、最後の凝固剤の投与の方法がなんとも言えないよね。口から無理やり入れて飲ませるってすごいね。
あれだけもはや進化しきった生物と言っておきながら、栄養素の接種は口から行うっていうね。
もしかたらただの飾りかもしれないのにね。まあすべての動物がこれだけ進化しても口や目といった器官の構成はほぼ一緒なのでどこまで進化してもこのままであると判断するのは間違いではないのか。
でも、無理やり口に詰め込んでも、体内にとりえれるかはかなり別問題な気がするけどね。

まあ上手く、血液凝固剤が機能して、ゴジラが凍るんだけど、ここで疑問が。
なぜ凍った。ゴジラはメルトダウンを防ぐため体内で行われていると思われる核融合システムを強制的に停止することが可能だったと推測できるし、本編でも推測してた。その場合、冷却システムのみが暴走して一気に凍ってしまったというのが今回の現象なわけだけど、だとすると、冷却システムも強制的に停止できたのでは?凍ったということは核反応が継続的に進行してしまっているとも思えないしね。ここはあまり考えても仕方がないので、ただの象徴として描きたかった庵野さんの意思かなと捉えることにした。
子のゴジラとともに生きていかないとならないというのはなんだか福島の原発やチェルノブイリのようなものへ対するオマージュなのかな。
一度起きてしまったものはあくまで封じ込めるという対応しかできず、その場に危険なものが残り続けてしまうという現実。
原発は地方の片田舎だからこそ、多くの人の関心が薄れてきてしまっているけれど、都心のど真ん中にあれば否が応でも思いを馳せ続けるということなのでしょう。
運び出せないのかっていう気もするけど、ビルぐらいの多きさがあるから質量が相当過ぎて恐らく無理。あれだけの爆撃で無傷なものを解体するのも難しそうだし、何より、それにより何か恐ろしいことが起こる可能性も怖いからね。

でも凍り続けるってのもおかしな話だし、あれだけのスピードで進化をしているということは体内で血液凝固剤の成分を克服するのも近いのではないかと思う。ラストの尻尾のエイリアンみたいのだけど、自分はゴジラの子供だと思ったね。分裂して増えているようにも見えるし、たまごみたいなものが孵っているようにも見えた。人間の怨念なんて言っている人いるけど、さすがにそれはないでしょう。
怨念と言えばおそらく牧教授の怨念は入ってそうだけどね。だから東京狙ってきたんでしょ?あれだけの研究ができた天才であるのならある程度ゴジラを操ることができた、もしくはゴジラの行動パターンで東京湾に潜んでいたことを知っていたのでしょう。冷静に考えて、核物質が餌になっていたようなゴジラにとって、福島から海に垂れ流しにされている核物質におびき寄せられたと考えるのは自然なことだと考えられる。
そのゴジラに自らを捕食させ最後の進化のきっかけを作ったのしれないね、牧教授は。

ということで、冷静に考えると色々と思いを馳せるところはあるのだけど、本編はそんなことを考える余裕を与えてくれない情報の豪雨の中を必死に進んでいくような感覚なので、問題なし。
必死に自分の仕事を全うしようとする役人たちや、命をはって突き進む自衛隊や、嫌と言いつつ、自分にできることを必死にやり遂げる人たちに人間模様にも心打たれるので、この映画の本筋はそこなんだと思う。

いい映画だった。
続編はないということだけど、いつかネタが尽きたらあるでしょうね。映画業界っていうのはそういうところ。
久しぶりにいい映画に当たった。


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