※画像は公式HPより引用
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冒頭でHIVのニュース、男子高校生が登場した時にこれはまた、同性愛者がテーマの事件かと勘ぐったが、そうではなかった。たしかにそうした要素がないわけではないが、メインは薬害エイズがテーマ。
犯人は薬害エイズの被害者であるけれど、今回殺害された被害者にとってはあまりにも理不尽で、どうしようもできない悲しさと寂しさが溢れていた。薬害エイズによってHIV感染に感染して、いつ死ぬかもしれないという恐怖を突きつけられた。人間いつかは必ず死ぬけど、20代、30代にとって死はずっと先のことで現実感のあることではない。それが急に隣に突きつけられた。それは怖いよね。精神的に不安定になるのもわかる。だからといってなぜ、高校生を殺した。いや、理由は死に対する受容ができるかのどうか、自分ができないその受容を他人は本当にできるのか確かめたかったからだと言っていたが、その間に誰かの命を理不尽に奪ってしまうことに対する葛藤や戸惑いはなかったの?心理学を専攻していたのならなおのこと、死というのは最も大きなストレスに分類されるもの。その死を自らの手で他者に与えるということには異常なまでをストレスを感じるはず。そのあたりはどうなったのか。
いや、そうか、宮藤官九郎は結局、死に対する受容がみたかったわけではなく、自分に突きつけられた死というストレスを自分の中で処理しきれなくなり、他人を殺すという想像を得難いストレスでさらに上書きすることによって、自分の死というストレスから解放されようとしていたのかもしれない。
だからこそ、HIV感染を知ったタイミングと、エイズを発症したタイミングでこの凶行に及んだのか。そう考える方が納得はできるは、許せない。今回の高校生は助かったけど、22年前の高校生は死んだ。父親にもっと褒めて欲しいという子供らしい悩みを抱えて、だからとって、極端に愛情が不足している家庭というわけでもなく、ちょっとだけ親に嘘をついて羽目を外したりというただただ高校生らしい高校生だったのに。
たしかに自分が高校生の時なんて、死について考えることなんてなかったな。今の友達のこと、好きな人のこと、大学どうしよう、その後の人生どうしようって未来が当たり前に来ると思ってそのことについてだけ考えてた。終わりなんて全く考えてなかったよ。幸せだったのかな。終わりを考えず、未来にだけ悩める若さって。
以上、ではまた来週。