【映画感想】白ゆき姫殺人事件【考察・ネタバレ・】


珍しく小説を読んでから映画を見るスタイルをとって見た。
ただ主演が井上真央で殺される美人な白ゆき姫が菜々緒だということは知っていたので、そのイメージで読み進めることになる。
配役はまさに。これ以上ないのではというほどのはまり役だったと思う。
まずは小説の感想。
思ったよりもあっさりとした印象。序盤から井上真央はここまで犯人のように扱われるのであれば犯人でないのだろうなと思っていたので、結末にそこまでの驚きはなかった。真犯人の方が驚いた。
そして、この小説の秀逸なところはこの真犯人の動機を本編では全く絵がかなったこと。まあヒントになるようなことは仄めかされていたが、直接的な表現は一切なかった。後追いの新聞記事、週刊誌記事で動機らしきものが語られたが、それはあくまで、取材に基づくものであって、本人の口から正確に語られたものではなく、信用に足るかは謎。そもそもこの小説のコンセプトが、週刊誌などの思い込みのかかった取材による記事は全く信用ならないよねというところがあるので、それを逆手に取ったオマージュのようにも思え、結局真犯人の動機は謎のままであるということかなと思う。
そして小説で井上真央は(小説なので井上真央ではないのだが)これまでの人間関係の全てに絶望して終わるのだが、まあそれも実際は本当に井上真央のことを信頼していたものもあったが、井上真央自身も週刊誌の記事の方を信じてしまい絶望するというさらなるかぶせ演出も秀逸。
というの小説のいいところを潰したのが映画かなと思う。基本的に小説の内容に沿って映画本編も進む。映像がある分、わかりやすくなった点もあるが、これといって、構図や撮影方法に驚きのあるものはなし。どちらかというとややコメディより感もあった。多少脱線するようなエピソードを丸々カットしてしまったのはまあよしとしよう、人物の深堀が浅くなったが、主人公たちにはさして影響なかった部分でもあったので。
ただ、ラストシーンがねえ。原作にないシーンをあえて入れたと監督が語っていたけど、入らなかったんじゃないかなあ。せっかくの湊かなえのキレのいい終わり方をした小説が、大衆向けのありがちなエンドになってしまったように思える。うーん、でも映画で小説の終わり方をされるとそれこそ主人公に救いがないし、全編通じて幸せ感を微塵も感じなかった井上真央へのプレゼントということにしときましょうかとすれば納得できなくもないかな。
とりあえず、井上真央は地味OLを完璧に演じきっていたのでそこは拍手という感じです。監督の功績は井上真央と菜々緒のキャスティングに尽きるね、キャスティングは監督じゃないかもしれないけど。あ、そうそう、染谷翔太の無駄遣いは反省して欲しいです笑


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