【映画感想】パラサイト半地下の家族【ネタバレ・あらすじ】


見たよ。ついに。ネトフリで。
完全ネタバレ有りの感想だから注意ね。

見終わった感想はうーん、これでアカデミー作品賞??っていう感じ。
ラストはよかった。ハッピーエンドと思わせておいて、程よい絶望に突き落とす様が。
あのラストを前向きな「計画」と捉えるのならば希望的ラストではあるけれど、あれは「計画」ではなく夢。過程が何もなく結果だけを夢見ているのだからその解釈の方がしっくりくる。

確かに貧困、格差社会という題材を前半のコメディタッチの演出から、中盤以降のホラーサスペンスの演出に転換し、驚きの要素も加えたテンポの良さは評価できる。

ただ、私的にはその切り替え部分である、家主のいぬ間に家主の家で宴会を開くという演出が本当に不快だった。
まず、こういった展開は確実に帰ってこないと思った家主が急に帰ってきてパニックになるというオチが待っているもはや古典的な展開。これはあえて狙っていたとは思うし、その前に解雇された家政婦がやってきて、地下の隠し部屋の秘密が明かされる展開を挟み込むのは衝撃だし、家主が帰ってきたあとのシュールな展開も新しいけど、なにか他に方法はなかったのかなと考えてしまう。

パラサイト家族を全員一箇所に集める、そして、主役のギウにミニョクのような発言をさせたりと色々と今後の展開に必要な要素があるので、あの展開が都合がいいのはわかるが、安直すぎる。
そして、ああいうシーンは本当にきらい。まず、人の家をどうしてそんな好き勝手に使えるのか。ゴミは散らかすし、ビンは割れるし、私物は勝手に読むし。その神経がわからない。そして家主側からしてもこんなことを知らないうちにされていたらと思うと身の毛がよだつし、同情する。さらにどうせ家主帰ってきて慌てて隠そうとする展開がもう見えてるからはらはらはらはらしてしまって落ち着かない。だからきらい。

脱出するまでの時間の演出も好きじゃなかった。ソファでくつろぐ家主と家主から貧乏人の匂いがすると馬鹿にされる会話を机の下で息子と娘の前で聞かされるギテウの悲哀をシュールに描きたがったのだろうけど、悪趣味に思えた。

そこからのラストまでの展開もどうなんだろう。展開の中では一番罪の軽そうなギジョンとなんの罪もない家主のドンイクが殺されるのが悲しい。そしてなにより、罪のない幸せ家族が理不尽な不幸に晒されるのが気分が悪い。確かにギテウに対しやや嫌悪を示す態度をとったものの、それに対する代償としては釣り合わないし、そもそもギテウ家族が勝手に富豪家族に乗り込んで勝手に怒りを覚えて勝手に破壊していくというただそれだけ。
バランスの保たれていた空間を自らの嘘と欲で破壊してその破壊に巻き込まれたから怒るってどんだけ自分勝手なんだろうと。
まあだからこそ、最終的にこのギテウ家族を破滅的なエンドにしたことでなんとかバランス保ったのかなと思う。そういう意味では前科持ちとしてさらなる貧困をいきる将来が待ち受けるギジョンを死なせて解放させたのはある意味一番優しい役回りだったギジョンへの配慮なのか。時に死は生きるよりも希望的メッセージも込められていたのかもしれない。逆にギジョンの死の原因を作ってしまったという罪の意識をギテウとギウに抱かせることも狙いだったのか。そう考えるとこの家族への罰はなかなかに重い。

とにかく、富豪家族の不幸は本当に理不尽すぎで、こういう理不尽なことも起こり得る都いうメッセージなのかもしれないけど、そんなメッセージいらない。つらい。みんな幸せになってほしい。

という映画でした。確かに面白いけどきらい。そんな映画。


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